「ユアナと銀の月」の完全版が出来ました!
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かなり以前に1話ごとに同人誌として刷ったことがありましたが、
この度全てのお話を一冊にまとめた完全版を作りました。
262ページ、オールフルカラー A5
単行本仕様ですが、自費出版です。
先日、5/5COMITIA124にて初お披露目となりました。
「ユアナ」は2003年より2005年にかけて朝日小学生新聞にてデイリー及びウィークリーで連載させて頂いた、
アメリカンインディアンの少年が主人公の作品です。
2000年頃からネイティブな世界、文化をモチーフに「Native Moon」という作品世界を少しずつ描き溜めていました。
その時にはもっと自分の等身大に近いもので、主人公のユアナは青年。戦いを嫌う優しい心の持ち主で精霊の声を聴き、愛馬とともに大自然とスピリットの世界を旅する…
動物、自然をこよなく愛しずっと創作活動をさせて頂いてますが、インディアン文化は中でも特に思い入れが深く…2002、2003年に続けて北米モンタナ州を訪れる機会を得、彼らのネイション、大地に浸る素晴らしい旅でしたが、「ユアナと銀の月」はその頃に描いた作品です。
発表の場所が小学生新聞になりましたので、必然的に主人公はぐっと年齢が下がり、ユアナが初めて精霊の世界に触れた頃を描くものとなりました。
対象読者が小学一年生から小学六年生という幅広い年齢であった事もありましたが、子どもたちの感性を信じ、内容はまだ理解出来なくとも成長して行く過程で理解をしていくだろうと考えたり、そして絵柄は興味を引きやすいよう丸い絵を心がけたり、特にこの頃は動物の人気が下火になっていた時代で、ペット以外の動物の魅力を伝えようと試行錯誤を繰り返しながら、子どもを育てる愛情の気持ちを忘れず私達も楽しんで描かせて頂きました。今見返すと不器用さが目につく所も多々ありますが、大目に見て頂けますと幸いです^^;。
おかげさまで自我がまだ確立する前の彼らにも、こうした異文化に対しての違和感も無くすんなり受け止めてもらえ嬉しい反応も沢山頂けました。
新聞連載だった事もあり、単行本化される事も無く、当時の子ども達の心の中の記憶にしか残っていない作品ですが、彼らは大人になり今も憶えていてくれる人達もいます。
フルカラーの漫画で毎日3ページのデイリー連載は、まれにみるスリリングな状況で書かせて頂きましたが、連載途中でイラン・イラク戦争が始まって編集部に緊張が走ったりした事もありました。新聞はこれが常で現場のライブ感は普段の雑誌連載漫画とは違った貴重な体験だったと思います。
今は出版不況が叫ばれて久しい状況ですが、それを抜きにしてもカラー漫画の単行本化はコストがかかり実現はよほど売れる見込みがない限り難しい状況です。そこで私達は自作の単行本になっていない作品の本化を始める事に致しました。
現在は電子化する事で手軽に復刻は出来ますが、やはり『紙の時代に描き残し、単行本になる事を意識した作品』はきちんと紙の本にして残してあげたいという思いがあり、何万の電子作品の中で見つけられず、また運良く見つけてもらってもただで読み流されてしまう事に抵抗を感じ、自費で本化する事に致しました。(現在の電子版ならではのブログ漫画等はまた違う扱いにする予定です)
漫画家であれば皆単行本化は一つの夢ではありましたが、たとえそれが叶ったとしても売れなければ一週間、三日で切られてしまう現在の漫画事情。現在はそのリスクがなく又手軽さの観点で電子配信が取って代わっておりますが、今回のユアナのようなどっしりと構えながらゆるやかに創作をし続ける作品を創る事が難しいと最近は感じております。
今回自費出版という形で作りましたが、
商業的に求められるものはこれからも勿論出版社さんにお任せで、
こういった新聞、カラー連載などの理由で表に出られなかったり、商業化が難しいけど、自分にとってこだわりのある作品達はこのような形で出していきたいと思っています。
昨年は漫画家生活30周年記念という節目もあり、同人誌という感覚ではなく自費出版本という位置付けで
HAPcomics(Himekawa Art Production)
レーベルを立ち上げました。
コスト的にはかなり原価ギリギリの頒布ではありますが、単行本である以上あまり高値にする事に抵抗感がありましたので、自分こだわりでこのレーベルは頑張って参りたいと思います^^;。(イラスト集などはまた別になりますね。適材適所だと思います)
どうぞご愛顧頂けましたら幸いです。