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マイノリティの話

 お正月休みも明けて
そろそろ昨年なかなかやれなかったこのブログも真面目に描き続けていきたいと思っています。


「竜は黄昏の夢をみる」一巻も発売中です。

買って読んで下さった方がツイッター上で呟いてくれていたり
一生懸命布教してくれていたりしてくれる人をみかけると
涙が出ます。

この作品だから特に感極まるものがあるのですが…。

こういう漫画を好いてくれる人ははどこか孤独を抱えていたり疎外感を感じていたり、自分の嗜好性に自信が持てなかったり、何らかの形で「辛い」想いをしている人が多いんじゃないかと思うんです。
実際私達も子供の頃そうでしたから。
でも今はこうして様々な困難がありつつも、無事乗り越えて大人となって、「描く」という能力を授かってそれで仕事が出来ている自分達が、そんな若い人達に少しでも何かを感じてもらいたいと思って描いているのですね。

あまり立派な事は言いたく無いですが、
こういう作品は同時に自分の中の救済でもあるので、それが共有出来る人が もし いるのでしたら、それ自体が本当に幸せな事です。

過去流した涙と受けた屈辱の数は計り知れません。
でもそれは言いません。見せません。
自分は作家なので作品でなんらかの昇華をしていきたいです。

だからほんの少しの言葉や気持ち
「面白かった」ーーーから、人に「読んでみて」と言ってもらえた時、
こういう作品を描いた事が本当に報われます…。

人外、獣、獣人。関係のない人達には色眼鏡で見てしまう人もいるかも知れないジャンルでもありますが、でも読んでくれた人の中ではその「向こう側の何か」に惹かれてくれて、非常にデリケートに理解していてくれる方もいます。
嬉しいですね。

突っ込み、ギャグも歓迎ですのでどんどんやって茶化して突っ込んで下さいね〜。
「シリアスは最高のギャグと紙一重」であると常に思っていますので。
真剣さやシリアスが実は一番ギャグに繋がるのですよね…^^。

キャラ萌えでも動物でも人でも表層で見てくれていい。深部を楽しんでくれてもいい。
その人の状態や立場でいろんな見え方が出来てくれる事を願っています。
マイノリティジャンルではなかなかメジャーにはならないですが、コアなファンの方の口伝えは強いと信じています。
是非宣伝して下さったら嬉しいです^^。



私事ですが、漫画を描くって一般的に多くは自室にこもって一人または少人数でコツコツやる孤独な作業ですから、社会と切り離されて社会的通念や常識にうとくなるケースもあります。
しかしプロになって仕事で漫画を描くという行為は、社会人としてOLもやって来た現場と基本は同じ、そして「ゼルダ」で任天堂さんとお仕事をして行く中でこの「社会通念」みたいなものがしっかり自分の中に根ざす事が出来ました。

ーーーーーしかしそれとは全く違う、自身の内の魂の声と言いましょうか…
どうしても伝えたい描かずにはいられない事があります。
この「内と外」の両輪が今の私たちの精神のバランスを支えています。

前者(外)の仕事はひとつの立場に立ち、一片の「これが正しい」という見方でもって描く事が多いのですが(勧善懲悪ものが多くなります)
この後者(内)のオリジナルに関して、実は�善悪�がありません。
表現しようとしている事に関してどうしても多角的になってしまうのです。

極端になるとモラルも無くなるときがあります。

でも「哲学(そのキャラの生き方)」はある。


私の中で普段商業誌も同人誌もエロ漫画も児童漫画も青年誌も少年誌も少女誌もコミカライズもそれは媒体によって「表現が違うだけ」の事でそこに良いも悪いも存在しないのでした。

が、前者の「社会的責任」が発生するお仕事の場合は仕事で関わる様々な人の立場があるのでそれらも考慮しながらその立場に相応しい形を表現するのです。

時々周りで同人誌のことをを蔑んだり、コミカライズを漫画と認めなかったり、漫画を蔑んだりする言葉を見たりしますが、何とも…。
作品の批判はあって当たり前ですがこういったおかしな的外れな物言いを目にすると、悲しい想いが募ります。


人はそれぞれ「その人の側」に行けば、その中では自分は正しいんだと言い張りたい気持ちがあります。誰でも。それはよくわかりますが、私はその一方の論理だけではどうしても納得が出来ないのでした。これは八方美人という事とは違うのですね。
その境界線を張ってまわりを拒絶する前に、自分と違う意見側の背景を理解していこうと考えるのです。

そんな「融合」が自身のテーマでもありますが、
それを獣と人という比喩的な技法で描いているわけですね。
しかし現実はそうそう境界線を越える事は簡単じゃない、と思う事の連続です。



漫画家って、自分の信じる事を形にするのってどれだけしんどい事なんだろうと感じます。

それにしても本という形になった事が本当に嬉しい。
やはりデジタルじゃなくて。


今まで形が何もない所でどんなに自分の事を説明した所でそれは単なる言い訳であったり自己弁護であったりする事でしかない、漫画家自身の事情がどうだろうと読者には関係ない、と今まで何度となく言われて来て、自分達も常にそう思いますし異論があるわけじゃないですが、
しかし(これも個人的な話ですが)長年、何故私達の周りはこんなにも厳しい人が多いんだろう?と思う事が多く、それがあとあと実は単に嫉妬の感情を隠す為に立派な言葉に置き換えて攻撃をくり出していたんだな、と解ったのは最近の事でした。
必死で上を目指そうとする人間が嫌いな人がこんなにも沢山いるのかと。だから身内ほどよい言葉は聴けないのは真理ですこの世界w。
人は、その人の事を本当に思って声をかけてくれる人と自分のために言っている人(場合)とがあって、そこにはさまざまな「罠」がしかけられています。
でもそれを見分ける事が出来る賢い子供達がこれから沢山増えて行くと思います。
最近そう感じます。





そしてオリジナルと呼んでいる私達の作品ですが
どうしてもマイノリティ寄りのジャンルが多くなってしまいます。

頼まれたら何でも描ける訳ではないので、
「版権もの」でなんとか出来ても自身の作品は実は超不器用なんですw。

描くテーマがどうしても一段階複雑になってしまいますw。
しかし私達本人にしてみればそれはマイノリティでもなんでもなくて
本道ストライクだったりする訳です。
このマイノリティっていう言い方はあくまでも一般社会から見ての立ち位置、ですよね。

少数派となると差別や偏見等の言葉が浴びせられて汚されてしまうのが常ですが、しかしそれは大味な世界よりある部分で優れたものを持っているからだとも思います。
私達には謎な事が多いのですが、そちら側のなかなか知られない、でも素敵なきらきらした世界を発掘して、描いて紹介をしていくのが願いです。




世の中には過去を一旦断ち切って今を進まなければならない事も多いのですが
それは又巡り巡ってその過去に再び繋げられる事を願っての行動でもあったりするんですね。

ふたたび過去が繋がりつつある今現在。

ゼルダのファンの方も姫川の新刊だからと単行本を買って下さって…
動物好きの方も人好きな方も。

本当に有難う。

お願いばかりで恐縮ですが、これからもこの物語が続けられる様に応援をして頂けたらと思います。

「面白かった!」と言って頂けるように二巻も頑張ります。




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2012年01月08日(日) 16:09 by Akira Himekawa [ Edit ]