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「シートン動物記」発売中です

 


「シートン動物記」絶賛発売中です!よろしくお願いします♡
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無事本にして頂き、担当編集Abe様、小学館の皆様有り難うございました!


昔から私達は「動物」を通した作品で仕事ができないかという思いがあり、
趣味でイラストや絵を長年描いて来ました。
漫画の仕事をやりつつ、何かと「こういうものを生かした仕事はないですか?」と編集さんに相談する事が多かったのですが10数年前は仕事に上手い形で繋がる事が出来ませんでした。
ですから同人誌やコミケで動物関係はずっと描いて来たのですが
2009年に上野の科学博物館に行った時、偶然シートン生誕150周年記念展開催予告看板を見つけます。

その時にガクマンプラスが学年誌の流れで創刊されこの雑誌の趣旨にぴったりではないかと思い立ち、編集部に提案させて頂いたところ、狙い当たって実現する事になり…

最初に描いたのが「サンドヒルのオジカ」でした。
意気込みはありましたが、いくら短編の小説でも22ページでまとめるのは難しかったです。原作はヤンがオジカを追うシーンが3、4回出て来ますがその時間の経過がとても重要で、ヤンが長い長い時間ストイックかつ執念をもってシカの足跡を追いかける。冬の森の静寂さや獰猛さ。最後のオジカとの対面に至る時のヤンの気持ちの変化と自問自答のシーンには哲学的な、けど決して難しくは無い、シンプルな文体が胸を打つ結晶のような物語です。
率直に言って今回の漫画でそれを表現するにはとても到らず、唯一敗北感が残ったお話です。学年誌の仕事は普通の漫画に比べて尺が短く、長い物を短くまとめる事が多いので結果「まとめ」の技術がついてしまったのですが、いくらその技術を駆使してもあの静寂の時間の流れを表現するには限界の枚数があったかなと思います。
(言い訳のようですみません;力が入り切らないと悔しいんですよね;)

なので「ロボ」はせめて前後編。48p。それでも多くはないですが、贅沢もいえませんので、狼の表情にはぜったいに魂込める意気込みで描きました。




しかし単行本に小さくなるとやっぱりギチギチだなあと;
一回余裕で空間を使ってストーリーものを描いてみたいです…(^_^;)ね。

「ロボ」の内容はあえて説明の必要がない位日本ではよく知られたお話です。
ですが、(以前も書きましたので2回目の方はざざっととばしてね)この仕事を始める前に改めて原作を読み返した時とても新鮮な感覚があったんです。

ここ10年位で3度アメリカに行って、それはもっぱらインディアンとオールドウエストがテーマの旅だったのですが(セドナも入れると4回ですか)
モンタナ、イエローストーン、グレーシャー、(オレゴンは2011年ですが)
それらを体験して原作を読み返したら「シートン」の物語からアメリカの自然と旧西部の日常感がすごく伝わって来て、それに感動したんですね。自分が子供の頃読んだ「動物のお話」のバックボーンはこれだったんだ。当時はそんなものほとんど受け取っていなかったことにもったいなさも感じ、再度受け取る事が出来た感激もあり、
「シートン動物記」は子供に向けて書かれた「名作」ものではなく、大人向けの普通の「小説」だったと改めて知ったわけです。


写真は2011年オレゴン州にて

漫画からそのオールドウェストの空気感みたいなものも少し伝えられたら…
と筆に込めて描きました。

「ロボ」はアンケートの結果が良かったというお話で嬉しかったです。
で、もう一本描いて単行本化することになりました。
「本になったらいいな」とは思っていましたが、このご時世に単行本にして頂ける事がラッキーです。小学館の学習漫画というシリーズでなかったら逆に企画を立てるのが難しかったと思います。

ガクマンプラス最終号に掲載されたのが「スプリングフィールドのキツネ」です。
このお話は30ページという尺に原作の量がちょうど良く、バランスのいい一本になったと思います。編集部でも好評いただきました*
しかし可愛い小ギツネが出て来ながらラストがうわあああ…な悲しさ(^^;;)
「泣いちゃう子がいるんじゃないの!?」という声もありましたが
原作が書かれた当時は「自然保護」の思想が出たての頃で、開発が進むアメリカ大陸でものすごい数の動物や自然が破壊されていくのを強烈に憂いていたシートン先生の気持ちが出ているラストなんだと思います。
今の私たちのまわりではTVでも動物番組は大人気ですし彼らと共存し、守るのは当たり前で、なぜこんな悲しい話を書くのか違和感を覚える読者がもしかしたらいるかも知れないとは思いましたが、当時の時代背景も知って、今のエコロジー思想にも繋がる経緯の大切なリングの一つなので、それを知って欲しくて物語が終わったあとの1枚をあえて描きました。

蛇足ですが原作を読んだ時「あれ、この話読んだことがあるような?」と思ったのですが矢口高雄先生の「マタギ」に出て来るキツネのお話が、この「スプリングフィールドのキツネ」がヒントなんじゃないかしら?と。勝手な想像ですが…。
ラストは違うんですけど更に壮絶です;
矢口高雄先生の漫画は「釣りキチ三平」はじめ長野の描く自然描写のお手本です(^^)小中学生の時一生懸命模写しました。


最後の「白いトナカイの伝説」は単行本のための描きおろしです。
本になると喜んだのもつかの間、ページが足らないということで40枚。
40ってけっこうな枚数です;
どれ(原作を)選ぶかで、面白そう…と思ったのがこのお話です。
「シートン動物記」では舞台がアメリカじゃないだけでもかなり異色な話ですが、読んだ印象がとてもビジュアル的で、絵とシーンが浮かんで来ました。
絵本になるかもしれない。自分達が描いたら面白いかも…
ということで選ばせて頂いた一本です。
なのでこのお話だけペンのタッチが違いますが、あえて密度を下げて「ユアナと銀の月」の“おおかみの国のユアナ”の時のようにアート感覚の方を重視して描きました。
ラストの狂気がかって走り続けるトナカイがなんとも怖いですが、こういう描写も昔はよく見たような気がするけど最近とんと見かけないんですよね。
本田の描くトナカイが個人的に大変好きなので、
彼女が描いたら絶対良いと思いリクエストしました☆
子供達がこれを読んで
「あの時読んだアレ怖かったなあ、今でも覚えてる」な一本になったら本望ですw

巻頭のイラストはその印象世界を描いたものです。
こういうテイストのイラストは本田はアマチュアの時山ほど描いていますが、
商業の方で発表出来る機会はほんとにそうそう無いので…。

リアルな劇画ではなく、幻想的な「アート」として動物を描けたのが、
この巻頭のアートギャラリーはとても有り難かったです。
何度も言ってしまいますが普通ありえないのでw;


白いトナカイ。

ロボ。

そちらもあわせてぜひご覧下さい!

最後になりましたがシートン先生へ素晴らしい物語を書いて下さった事と
未熟者ですが漫画で描かせて頂きました事に心から感謝を。

こちらの単行本を海外で翻訳する動きがあるのですが、私達の漫画が強いヨーロッパでは「シートン」は有名ではないので出来上がった本を読んでから決めたい、というお話だったそうで、それは意外でした。言葉の違う日本でこんなに「シートン動物記」が浸透しているのって不思議だな、という思いと、
日本人は自分達で思うよりも実は動物が大好きなんじゃない?と思ったりもするのですが、エンタメやアートの部分でも動物がもっとポピュラーになってくれたらいいなと日々考えます。

長い文章をここまでおつきあい下さり有り難うございました*
cetegory : NEWS/発売情報 ✤ - ✤ - ✤ -
2012年02月12日(日) 23:26 by Akira Himekawa [ Edit ]