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牧野邦夫展に行って来ました

 牧野邦夫展ー写実の精髄ー
練馬美術館 2013年6月2日まで開催中

(画像にリンクあり)
大変おすすめの絵画展です。

秦琴奏者の深草アキさんに教えて頂き、展覧会にご一緒させて頂いたのですが、
すごかったです。
私はそんなに絵の世界には詳しくないし、そんなに沢山見て来たわけでもありません。
それでも今までいろいろと目にした絵画があるわけですが、

こんな絵を見るのは初めてです。

それぐらい、唯一無二。
とてもユニークです。

古典絵画の技術であったり、この方の絵を語るには必ず言われる事があるようなのですが、一般の人にはあまりどうでもよいことで、
この世界は明らかに牧野邦夫氏だけのものを熟成させていると思います。

「写実」と紹介されていますが、
ありえないものの面積も大変多いです。

想像、妄想の産物が超リアルな人間の周りにひんぱんに浮遊しています。
それは意図的にぱっと見にはわからない所に巧に忍び込むように描かれていて、
隠し絵かだまし絵か、
よくよく見てハッ!とする心霊写真みたいです。

さらりと見過ごさない様にしてください。
どこに何が描いてあるか、まったく油断ができません。

それは、牧野氏の中から生まれた愛すべきキャラクター達。
“画家R氏”や“邪保(じゃぼ)”は私達が日常、漫画やアニメの中で出会う
キャラクター達にたいへんよく似ています。

つまり「中二」的とも言えるのです。

それでいて、ギリギリ俗に落ちない。

二次元界隈周辺の我々が見ると大変面白いのではないかと思います。
若い人たちにぜひとも触れてほしいです。

検索するといわゆる「代表作」的なものが沢山出て来ますが、
ほんのほんの一部なので、先入観を持たない方がよいです。
現物の生々しさは写真ではほとんど伝わりません。
先日からそんな話が続いておりますが^^;


図録から一部ご紹介します。
図録を写真に取ってアップするのは牧野さんの奥様のご了承を頂いています。

「画家R氏の肖像」
ユニコーンにも注目です。
これに限らずファンタジーな生き物が沢山登場しますが、みなすごく愛らしい。
Rは敬愛してやまないレンブラントのRだそうです。
図録の帯に「俺が少年の時、この人を最高の目標として選んだことに間違いの無かった事を、今、確かめることが出来る。」とあるほど。常にレンブラントを師とあおいで自分の絵を律する指針にしていたように思います。
心の中に「師」を持つ人はぶれないのだなあ、と改めて思います。
でも師よりはるかに独創的な域じゃないかと^^;
比べられるものじゃないですが。


「屋上の邪保」
愛すべきキャラクターの邪保。
彼が登場する絵も何枚もあります。
右下の人間の営みを上から見て涙を流しています。
展示を通して印象に残るのは「人」です。
人間のあらゆる感情、営みをキャンバスに焼き付けてるみたいな。


「インパール(高木俊朗作品より)」
太平洋戦争のインパール作戦を描いた絵です。巨大な大作。
彼の写実は、単に「描き写す」ものではなく、人間の生々しさを
ありとあらゆる形をとって伝えようとする写実で、
生の人間を目の前で見ているような肉感、切った断面からほんものの血が流れそうな、
しかしグロテスクさを目的にしているのではなく気高さと愛をもって描写する。
そういう写実なんだと思います。


「ウィスキーの自画像」
狐のお面が飛んでる自画像がいくつもあって印象的です。



「白い壁の前」
このチラ見せのエロチシズムはもちろんですが、
実物は裾のレースの白がとても綺麗です。



「人」
10年に一回、この「人」シリーズが描かれてます。
人間のすべての営み、心の奥底のダークサイドまで、
その全てをこの一枚に描き現そう、という気概が溢れ出るような。
とにかく凄い!(ボキャ貧ですみません;)



「落城」
この絵に限らず展示作品には大抵深遠なストーリー性があります。
自画像がこっちを見ていない珍しい作品ですが、それはこの絵が自分のためでなく
お姉さんのために描かれている所が優ししいなあと。
牧野さんがとてもカッコいい絵です。



「祈る憂羅」

上に「俗に落ちない」と書きましたが、
それは凄く恐れたんだそうですね。
絶対に芸術性を保つ境界線があって、その律し方が凄いと思いました。


紹介しておいてなんですが、
写真だと実物の迫力から遠いので、それでも図録はもちろん持っておくべしなのですが、
実物をぜひご覧になって下さい。


これだけすごい絵を描いていながら日本ではその存在がほとんど無視されていたわけで…
こんなすごい画家がどうして知られていないのか。
私達もアキさんに聞くまで知らなかったわけですが。
どの団体にも属さず、一生を自分が納得出来る絵を描く事のみに集中されていた。
一般人にはなかなかピンと来ませんが、画壇に属さないというのがどういう事なのか。
「結局人付き合いなんです」
奥様が言われた事は、実は私達の業界にもある話なんですが、
絵の世界はもっともっと顕著なんでしょうね。



大規模な展示は23年ぶりで、
個人所有の絵が多いのでこんなに大きな展覧会はおそらくもう無理だと思う、と
奥様が仰ってました。つまり最後のチャンスになるかもしれません。

6月2日までですので、お見逃しなく!


しかし一枚もさらりと見過ごせないのですんごく疲れましたよ;
ぜひゆっくり時間をとって訪れて下さい。
練馬美術館は西武線中村橋駅から歩いてすぐです。



見終わった後、アキさんと牧野さんの奥様とご一緒させて頂いて、
とても貴重なお話を色々伺う事が出来ました!

奥様が
「絵って、立派な額縁に入れて高い所に飾られるようなものではなくて、
もっともっとありのままを見てほしい」
と仰ったのが印象的でした。
権威に寄らず描き続けた牧野さんをずっと支え続けた奥様です。
でも苦労だけしていたのではなくて、
「退屈しませんでした。とても楽しい日々だった。
(二人なら)無人島に行っても絶対退屈しない自信がありました」
とにこやかに仰ってました。


「今回の展覧会は一人でも多くの人に見に来て頂きたいです」という
奥様のメッセージです。



前回記事のながやす巧先生の原画展と今回と
世間にまつろわずひたすら自分の画業と向き合う方の仕事に立て続けに触れて
大変刺激を受けています。

自分も色々考えますね。


ちなみに深草アキさんは日本で(世界で?)ただ一人の秦琴奏者で、
私は実は30年来くらいのファンで、サイン入りのファーストアルバムを持ってますw
いつの間にやらこうしてアキさんと一緒に展覧会に行ったり
ご飯したり話をしたりしてるのが信じられません(^^;;)
古道具屋で衝撃的な出会いをし、弦も張られていなかった古楽器の秦琴を蘇らせて
独自の音楽世界を構築されてるアキさんもまた唯一無二のアーチストです。
元はベーシストでロックで、
ファー・イースト・ファミリー・バンドで喜多郎と一緒にやってられたスゴい方です!
すごく気さくな方で聞き上手すぎでとてもそんな気がしませんが(コラ!)
ちなみにアキさんのサイトはこちらです。AKI FUKAKUSA
CDも沢山ありますので、こちらも超おすすめします♬
最初は「星の大地」か「白鷺」あたりを!
秦琴は古楽器ですが、アキさんの感覚がロックなためか、
音は全然古くない、新しく、メロディアスでメジャーな音です。
民族音楽というとヒーリングミュージックに入れられがちですが、
癒しというカテゴリーはあんまり似合わないと自分は思っていて、
耳から入って来ると、頭にカーンと来る、目が覚める様な音なんですよ。
自分には大変刺激的な音楽なのであります。

アキさんと秦琴の事を語り出したらほんとは止まらないのですが、
近いうちに久し振りに(今度こそ)ライブに行って、その時詳しく
自分の思い出も交えて(笑)記事を書きたいと思います*


また長い記事ですみません;
お付き合いありがとうございました〜〜!
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2013年05月16日(木) 01:26 by Akira Himekawa [ Edit ]